【句動詞を体得せよ 1】hold backのコアイメージと連想法
皆さんはイディオムっていう響きに苦手意識をお持ちではありませんか?
同じ組み合わせで、複数の意味を生じさせるため、暗記で苦しんだ経験からだと思います。
しかし、その苦手意識は解消する方法があるのです。
今回からシリーズで、イディオムの中でも厄介な句動詞の体得法をお伝えしていきます。
前提
句動詞とは
ここでの句動詞とは、動詞+副詞によって構成され、複数の意味を生じ、まとまって1つの動詞として機能する熟語(イディオム)のことです。
句動詞の目的語の位置
句動詞を学ぶ前提として、目的語が入る位置のルールを覚えておいて下さい。
目的語に名詞が入る場合は2通りの表現ができるが、
マリは彼女の怒りを抑えた。
⭕Mari heldback her anger.
⭕Mari held her anger back.
目的語に代名詞が入る場合は1通りだけです。
マリはそれ(彼女の怒り)を抑えた。
❌ Mari held back it.
⭕ Mari held it back.
it = her anger
hold backで句動詞を学ぶ
初回はhold backを使ってその意味の掴み方を学びます。
hold backの意味を辞書で調べると
- (発展などを)阻止する
- (群衆などを)押しとどめる
- (感情などを)抑える
- (進歩などを)遅らせる
- (情報などを)隠す
- (恐怖などで)しりごみする
・・・など
暗記する前からうんざりしますよね。。
でも、ネイティブもこのようにして句動詞を辞書的に覚えてきたのでしょうか?
答えはNO。彼らはある方法を使って覚えていたのです。
句動詞連想法
ネイティブが使っている方法とは、句動詞のコアイメージをとらえて、そこから意味を連想する方法です。この連想法を用いると訳の丸暗記する必要が全くなくなるのです。
コアイメージとは?
単語とその組合わせが持つ本質的なイメージをコアイメージとよびます。句動詞の場合はそれを構成する動詞と副詞、そしてその組合せが持つ本質をイメージします。
実際に句動詞連想法を行ってみましょう。
まずhold backのコアイメージをとらえてみます。
動詞:hold →ある状態を短い時間、力を込めて保つ
副詞:back →うしろ
組合せ:hold back →backの状態をholdする
それでは3例文を使って、上記のコアイメージから意味を連想していってみます。
① The police held back the crowd.
② Mari held back her anger.
③ I think Mari is holding something back.
句動詞連想の例
①The police held back the crowd.
↓
警官はその群衆を押しとどめた。
② Mari held back her anger.
↓
マリは彼女の怒りを抑えた。
③ I think Mari is holding something back.
↓
私はマリが何かを隠していると思います。
どうでしょう、感覚は掴めましたか?
もちろん、この解答例が絶対ではありません。文脈や解答者の性格によって、さまざまなイメージが導き出されますが、逆にこの多様性が自然で楽しいのです。
最初は戸惑うかもしれませんが、慣れれば句動詞を丸暗記する必要がなくなりますよ。
by 各務 乙彦